歩行困難にはならない
「踵骨が発達したら、歩行が困難になるのでは?」「前のめりになって立っているのが辛くなるのでは?」といったご質問をいただくことが多いので、関連する事項について回答させていただきます。
身トレでの発達は全体的
まず第一に、身トレでの骨肥大は、特定の箇所に骨の突出が起きるのではなく、骨格全体がサイズアップします。
これは、踵骨サイズに個人差があるのと同じ状態です。たとえば「身長170cmは、踵骨の高さが7cm以上あったら歩けない」とは、なりませんから、個人差の範囲内で歩き方の変化が起きるだけです。
骨格の全体的なサイズアップであるため、 ①下方への伸びだけでなく後方への伸び ②踵骨の上部にある距骨の発達と見られる成長 ③画像では確認し難いが、踝(脛骨の下端)も厚みが増す |
前のめりにはならない
恐らく、否定的な見解を鵜呑みにされての質問かとは思いますが、足首の関節は前後に大きく動きますので、踵骨が大きくなっても、前のめりになってしまうことはありません。
ただし成長初期は、長年培ってきた拮抗筋の働きがあり、成長前の足首の角度を保とうとする癖が残ります。これは鏡で真っ直ぐに立つ角度を確認することですぐに改善されます。
拮抗筋については、下記リンクをご参照ください。
ハイヒールを履いた様になる?
「前のめりにならなくても、ハイヒールを履いたときのように運動し難くなるのでは?」という質問もいただきます。
しかし、ハイヒールの様に、踵骨の荷重が爪先側に滑り落ちる力はかかりません。足裏のアーチに掛かる荷重で考えると分かり易いでしょう。
踵骨が大きくなってもアーチ後半部分への荷重は変わらない 青い矢印がリスフラン関節。ここが加重時に主に動く |
ハイヒールを履くと、傾きによる滑りが荷重方向を変える リスフラン関節の可動方向と荷重方向が異なり機能が損なわれる |
歩行困難の発信源は?
身トレ販売開始の2年ほど後、「身トレの中古、海賊版(ニセモノ)」を購入したという方から歩行に支障があるとの報告をいただきました。
HPで警告した後は、そういった不正な販売物はなくなりましたが、2015年に話題になった「踵叩き」も、ほぼ同じ内容で、歩行に支障が出ているとの情報もあります。
これらの方法は、身トレのような骨格全体のサイズアップではなく、局所的な異常骨形成や腱の骨化が発生していると推定され、その場合は歩行や立つことに支障がでる可能性があります。
身トレでは、これまでにそういった苦情はありませんので、混同のないようお願いいたします。